最初に:私の基本的な事情
- 広東省東莞市から、広東省深セン市への転職
- 全く別の業界へ転職
- 27歳男、扶養なし
- 転職先は日本企業ではあるものの、外国人のビザ手配経験なし
(中国の事務所は全員が中国人スタッフ) - 2020年11月末から手続きを開始し、2021年1月中旬にビザ取得
中国の労働ビザ基本事情
- 初めて中国で仕事に就く方は、日本で「Mビザ」を申請して、それを持って中国に入国します。
中国国内で「工作許可証」を申請/取得後に、「居留許可証(ビザ)」を取得する必要があります。 - 「工作許可証」は就労許可のことで、この審査が厳しいです。
- 「工作許可証」の取得には、中国政府が設定した点数制度が存在します。
この点数に基づき、Aランク、Bランク、Cランクと分けられます。Cランクになる場合、申請しても許可は難しいようです。
(点数性の詳しい内容は、他サイトでも色々と詳しく紹介されているので、ここでは省略します) - 「居留許可証(ビザ)」の取得は「工作許可証」が取得できれば、特にハードルはないと思います。
中国国内で転職する場合の基本事情
- 既に中国国内に居るため、Mビザは不要です。
- 前職で取得した「工作許可証」と「居留許可証(ビザ)」を新しい会社で更新します。
- 基本的には、同省や同市内で転職する場合も、最初からの審査が必要になるようです。
ですが、「工作許可証」と「居留許可証(ビザ)」が期限内である場合、手続きのいくつかが省略できます。
(ここ、正直私の認識は微妙です…。参考程度にお願いします。)
前職のビザは取り消さない
- 前の会社で取得したビザは取り消さずに、転職する必要があります。
持っている「居留許可証(ビザ)」の期間内に転職先で新たな「工作許可証」と「居留許可証(ビザ)」を取得(更新?)することで、手続きの一部を省略化することができます。
(例えば無犯罪証明書や学歴証明の公印確認が提出不要など)
残り期間にもよりますが、普通なら時間的余裕もあるはずです。(下記記載のTビザ(停留ビザ)は1ヶ月です) - 手続きは省略化されますが、ビザの取得難易度が大幅に低減するわけではなさそうです。
- 私はと言うと、完全に取り消してしまい苦労しました…。
私の失敗内容
- 私は前の会社で取得した「居留許可証(ビザ)」を完全に取り消してしまいました。というよりも、会社との話の中で、そうなってしまいました。
本来はここで、前職の担当者を説得し、残してもらうべきでした。 - 当然「居留許可証(ビザ)」に取り消しのスタンプが押され、無効化されました。
- 前職の担当者も、国内で転職する場合の対応が分かってなかったのもありますし、会社としては辞める人間のビザは早急に取り消したいのもわかります。
- 当時の話では、下記のTビザを発行するから、転職できるという話でした。
- 「居留許可証(ビザ)」を取り消したことで、代わりに中国国内で転職活動ができるよう、1ヶ月の猶予が与えられる「Tビザ(停留ビザ)」を、前の会社を辞める直前に新規発行してもらいました。
2022/06/03 追記
本記事へ、Nao様から興味深いコメントをいただきました。
Nao様の場合は、ビザを取り消さない代わりに自己責任で対応するという旨の誓約書を書くことを求めらたそうです。情報提供に感謝すると共に、困っている方のためにここに共有させて頂きます。
私は結果的に居留許可はキャンセルせず、ただし自己責任で対応する旨の一筆をイミグレに提出しました。これにより転職先での申請作業が相当はかどるようです。このキャンセルする作業は正直言ってやってもやんなくても良いプロセスなはずですが、会社によっては「嫌がらせ」要素もあり、強制終了させて次の機会を邪魔させる目的もあります。これはケースバイケースなのであくまでも個人の意見ですが。
必要書類(前職の「居留許可証(ビザ)」が残っている場合)
- 申請表(転職先用意)
- パスポートコピー
- 有効期限内の工作許可証、居留許可
- 前職の退職証明
- 職歴証明(前職でどんな仕事に就いたか説明。上記の退職証明内に記載でも可)
- 申請人の最高学歴証明の原本と、日本語から中文への翻訳資料
- 転職先との労働合意書
追加の必要書類(完全にゼロから申請)
★無犯罪証明書
- 私の場合は、中国に来て1年半は東莞で暮らしていましたので、東莞での無犯罪証明書が求められました。
(もし日本での無犯罪証明書を求められた場合、広州日本総領事館で発行依頼できますが、2〜3ヶ月必要です。) - 上海など他の都市では、不要である場合もあるそうです。
-
東莞の警察署で取得しました。
最初は、当時住んでいた東莞市内(南城区)の警察署で申請したんです。(居住の証明書も持参しました)ですが取得できませんでした。
そして、職場の最寄りの警察署(高埗镇)で申請したところ、数時間かかりましたが入手できました。
どうやら私の個人情報を申請した?場所でないと発行できない?ようです。会社の事務の担当者が、私の知らないうちに(それか一緒に行ったが私が完全に忘れただけか?)高埗镇の警察署で申請してくれていたようでした。
また実はその際に、会社自体の企業としての証明書など、前職勤め先の会社関連証明書も必要だったそうですが、高埗镇という少々田舎の警察署だったので、とりあえず私が申請した記録があって本人だと証明できたので、そのまま発行してもらうことができました。
★卒業証明書と卒業証明書の認証(公印確認)
- 認証(公印確認)とは、卒業証明書の印影(又は署名)が真正であるという中国文の証明書(公印証明書)を発行してもらう事です。
- 私の最終学歴は専門学校ですが、広州日本国総領事館では対応できませんでした。
在日本の総領事館だと認証してもらえますが、調べるとかなり手間が多く、代行業者に頼むと5万円近くの費用がかかりました。
流石に高すぎたので、高校の卒業証明書を日本の家族から送ってもらい、それを使用しました。 - 広州の日本国総領事館に原本を持参し、30分程度で公印確認をしてもらいました。
- 広州日本国総領事館に持ち込む前に、メールで卒業証明のスキャンデータを送り、公印確認が可能かどうかを、先に確認してもらいましたので、とてもスムーズでした。
申請をご希望される方は,事前にメールにて卒業証明書等を当館にお送りいただき,登録の有無をご確認ください。
- ちなみに公印確認費用はRMB100程度でした。
Wechat payやAlipei等の電子決済はできないので、現金を用意する必要があります。
- メールで色々と日本総領事館に相談しましたが、対応が親切で、回答も速かったです。
★健康診断証明書
- 政府指定の病院で検査します。検査結果は通常1週間後に出ます。
料金が上がりますが、翌日の結果確認も可能でした。
ビザの点数制に関して
- ビザがゼロからの申請になる事を知り、その場で点数制に関する資料をもらいました。
転職先の担当者と点数を計算しますが、Bにも届きません…。 - 私は社会人年数も6年ほどで短く、何より専門学校卒業だったことから、点数が下がってしまいました。
(大卒だとほぼ問題なく点数は超えられる) - 中国語の検定HSK3級は取得しており、加点対象となった事はラッキーでした。
- 給料が高いと、点数も上がります。これは納める税金の額が高いからです。
(嘘の申告もできると思いますが、1年後に税金関連の審査があるようで、その際に不足分は払うことになります) - 点数を埋めるため、会社と協議を重ね、給与をUPしてもらいました。
…というのは冗談で、高い給料を私が受け取り、多すぎる分は会社にキャッシュバックするという方法にしました。
政府に払っている税金の額は規定通りですので、問題ありません。
ただ会社にとっては、私の点数が足りないことで余計な出費となってしまいました。
その後の流れ(Tビザ延長と面接)
- 私が資料を集めたのは上記までで、あとは新しい会社の担当者が揃えてくれました。本当に感謝しています…。
- 数回、深センの「市民中心」に出かけて申請を行いました。
- 退職してから1ヶ月内に転職できなかったため、Tビザを1ヶ月追加延長してもらいました。
(現在は新型コロナの影響で、人道的観点から、外国人はビザの期限が切れても中国国内に留まれるように特別延長が可能です。) - ビザの発行がほぼ決まり、最後の深センの市民中心に行った際には、面接がありました。
2名の面接官に、10分ほど質問されました。 - 内容は、会社の製品や業務内容、日本人が勤める必要性などが聞かれました。
私もノートパソコンで、最近作った製品のデザインデータなどを面接官に見せて、デザイナーとしての仕事内容を説明しました。
(面接官からは「スゲェ」と褒めてもらいました。多分、日本のアニメ好き?) - 最初は緊張した雰囲気がありましたが、後半は穏やかな空気で終えることができました…。
その他イレギュラー事項
- 新しい転職先は日本企業で本社は香港ですが、深センの事務所は出張所?としての立場で、中国での登記はされていない形態でした。
(深セン事務所の社名は、一般的な〜有限公司ではない)
よって香港の「公証」が必要で、その取得に1ヶ月ほど必要でした。 - 外国人を採用することは簡単ではないようで、一つの会社に3人までという制約があり、マネジャークラスに限るそうです。
(ということで、申請上としては私もマネージャーとして登録してもらいました。) - この会社では外国人を採用することが初めてで(深セン事務所では全員が中国人)担当者も経験がなかったのですが、色々と調べて対応してくれました。
ビザ取得のためには、中国の現地スタッフの力が必要不可欠です。
すべて終わったあとには、お礼に日本のお菓子をプレゼントしました。
最後に
点数制のことは知っていたので、専門学校卒である私は点数が足りないことは、分かっていました。
さらに新型コロナのこのご時世ですし…。
もしこれがなかったら、絶対に1ヶ月の期間には間に合わせられませんでした。